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住宅業界2019年問題

2017.09.26 不動産投資

不動産業界でささやかれる「2019年問題」という言葉の意味をご存じでしょうか?

2019年をピークに日本の世帯数がピークアウトし、その後減少の一途をたどることにより、住宅価格に大きな影響を与えることになると言われる問題です。

国立社会保障・人口問題研究所は2019年の5300万世帯をピークに、2035年には4955万世帯まで世帯数が減少すると推計しています。
これまで通り住宅を供給されれば、当然ながら空き家は増えていくでしょうし、住宅の供給超過が続けば必然的に住宅価格が下がっていくと考えられます。
もちろん、すべての地域に当てはまるわけではなく、需要の高い地域とそうではない地域の差が大きくなっていくと予想されています。
このように、今住宅市場はかつて経験したことのないような大きな地殻変動の中にあるのです。

ところで、シンガポール国立大学の清水千弘教授は、著書「日本の地価が3分の1になる!2020年東京オリンピック後の危機」の中で、東京都の住宅価格は2040年に2010年比で約4割程度になると推計しています。
この推計では、世界中の都市の不動産価格は「GDP成長率」「1人当たりGDP成長率」「現役世代負担率(働き手の割合の変化率)」によって形成されると分析しています。
つまり、効率よく働ける稼ぎ手がいる都市は不動産の買い手や借り手が増えて、不動産価格が上がるという考え方です。

今後、世帯数の大幅な減少、またすべての住宅価格が今より4割価格に下がるというわけではないと思いますが、不動産価格や賃料が下がる場所とそうでない場所がはっきり分かれてくる可能性はあります。
従って購入するのであれば、立地を十分に吟味する必要があるということになりそうです。

値下がりするかしないかの予想は非常に難しいのですが、あえていえば、表面利回りが10%を超える地域は値下がりする可能性が高いのではないかと感じています。

投資において利回りが高いということは、将来のリターンに対する不確実性が高いということを意味します。
今のうちは高いリターンが得られるかもしれないけれども、将来は賃料収入が大きく低下するか、あるいは空室が続く可能性が高く思った以上に価格が大きく値下がりするかもしれないのです。

地殻変動のなかにある不動産市場においては、単に購入することがお得だという考え方ではなく、購入すべき立地なのかそうでない立地なのか考えてみることも必要なことではないでしょうか。
もちろん表面利回り10%の物件を買ってはいけないという話ではありません。
建物のコンディションを把握し、維持管理に努めることで今後の価格下落にある程度対抗することも可能だと思います。
また、購入する目的や意義をきちんと考えてから買うということも忘れてはなりません。